2009年01月20日

Dance Music Manual


Dance Music Manual: Tools, Toys and Techniques (ペーパーバック)
Rick Snoman (著)


まだぱらぱらとページをめくっている程度なのですが、なかなかいい本なので紹介してみます。本家AmazonやUK Amazonでは初版に5つ星レビューがずらりと並んでいるのが、実に壮観です。
"Dance Music Manual"と言うタイトルで引かれるかも知れませんが、実際の内容は僕のブログをわざわざ覗いてくださるような、音楽制作に興味を持たれるすべての方にお勧めしていいと思いました。〜そう言えばダンスミュージックそのものを作っていらっしゃるような方って、僕の近辺にはあまり見当たらない気もしますね。
何でこう高評価なのかと言うと、いろいろ理由があると思いますが、僕としては内容が充実していることもさることながら、やっぱりテーマに対する著者のスタンスが好感持てました。こう言う音楽のハウツー本は、つい音楽はこう作らなければならない、みたいな語り口になって音楽の可能性を限定してしまいがちなんですね。〜音楽がレシピ一つで語られてしまったら世話なくて、それはむしろそのジャンルが既に死滅していることの証になるかと思います。ところがこの著者は、音楽制作には実験することの恩恵が非常に大きいのだと言う信念を前書きにも強調していらっしゃることからも伺い知れるのですが、押しつけがましくないのです。これはよくできたお料理ハンドブックみたいなものですね。基本的なレシピや、知っておくと役に立つポイントみたいなものは押さえてあるのですが、あとはご自由に、美味しいものを作るのはあなた次第ですよ、みたいな書き方なのです。我流の料理を作りたい人も、よくあるタレの味付けを自分の料理に応用してみたくなって、あれってどうやって作るんだっけ、みたいに思うことはあるでしょう。
具体的にはどう言うことが書かれているかと言うと、コンプやEQの使い方、ミックスダウン、マスタリングのtipsは元より、ある特定のジャンルでよく使われるキックやスネアやベースの音をsubstractive synthesisでどうやって作るか、とか言う話や、ハウス、トランスからドラムンベースやアンビエントに至るまで、各ジャンルの音楽の基本構造やどんな音がよく使われるかを解析してみせています。たとえば僕はサイン波ベースを好んで使うのですが、どうやってそれにアタック乗せるかは結構悩みの種だったりです。そうした話題が結構な行数を割いて書かれていたのは驚きだったし、たいへん有難かったです。
ちなみにこれはプロフェッショナルな制作に向けて書かれた書籍です。日本でだったらこの手の書籍は"DTM"と言う言葉を被せて出版されるのでしょうね。"DTM"と言う言葉はほとんど日本でしか使われていません。よくわかりませんが、たぶん「ミュ〇ジ郎」や「Hello M〇sic!」なんかのマーケティングを通じて広まった言葉なんじゃないかと思います。ウィキペディアでデスクトップミュージックの項を開けて、そこから英語のリンクを辿ると、"Computer Music" の項に跳ぶようになっています。もちろん二つの言葉から受ける印象は全然違いますし、実際に書かれている対象の内容も全然異なっています。僕はむしろ"Electronic Music"にリンクするのが正解だと思いますが、とにかく、海外では"DTM"と言う言葉は一般的ではないと言うことです。それで、僕は"DTM"と言う言葉には人々をホーム・コンシューマーのレベルに閉じ込めておくような、卑しい響きを感じるので、あまり感心しません。無理に卑屈になるのでなければ自分からはあまり使わない方がいいような気がします。自分はプロみたいな音は決して作らないよ、と最初に自分から放棄宣言してしまっているような感じがします。その辺は意識せずに境界自由に行き来したらいいんじゃないでしょうか?


posted by irijako at 09:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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